子供のころは囲碁はやったことがなくて、22歳の時にチャレンジしました。大学の囲碁部に顔を出してみたら、親切な人たちに出会えて。囲碁を教えてもらう代わりに麻雀を教えていました。部員の6割は高段者、2割は低段者、2割が級位者といった世界。まだネットがない時代だったし、級位者同士で対面で打てたのは良かった。あと高段者のみなさん、年下だけど囲碁部の先輩であり先生のみなさんは、容赦なく打ってくれたのも勉強になった。置き石が何子だろうが、決して負けてはくれなかったなあ。
囲碁は勝っても負けても楽しいものです。たとえ強くなっても、強い相手と打つことになるので、いつまでたっても勝ったり負けたりです。囲碁は負けて楽しいし、弱くても楽しいし、碁盤に向かっている時間そのものに幸せを感じます。なので私は強くなることにあまり意味を感じません。ところが、世の中にあふれる囲碁情報は勉強(=強くなる)が目的のものばかり多くて。当方はエンジョイ勢なので、ガチ勢のプロ棋士やインストラクターが言うことはほとんど的はずれです。ゲームは娯楽であって、楽しむこと以外の目的なんかあるわけがない。
これから囲碁を始める、あるいは始めたばかりのかたは、どうぞプロ棋士やインストラクターがいうことを気にしないようにしてください。それよりも身近にいる人とどうやったら楽しめるかを考えましょう。初心者の先生にはたぶん10級~15級くらいの人がベスト。
一局の初めから終わりまでの流れを知りたい場合は棋譜並べがオススメ。プロ対プロの置き碁の棋譜もありますが見つけにくいので、10級くらいの人の棋譜を並べてみるのが良いでしょう。あと次の一手クイズの問題集はクイズ形式で親しみやすいのと、次にどこに打つかの考え方が分かるので、こちらもオススメ。
もしあなたがプロを目指すようなガチ勢の初心者でしたら、上記はすべて無視して、すぐにプロかインストラクターに相談してください。ルールを覚える段階から専門家に教えてもらうほうがいいです。
あなたが私と同様にエンジョイ勢でしたら、下手でもいいので楽しく打てる相手を見つけましょう。そのためには、囲碁を打つ人との出会いを探してイベントに参加したり、なるべくいろんな人と多くの対局を経験しましょう。
上の方に「私は強くなることにあまり意味を感じません」と書きました。でも少しだけ意味がないこともない。長く囲碁を打っていると嫌でも少しは強くはなってしまう一方で、初心者のころの新鮮さとワクワクが減っていきます。そんな時に、少し強くなっているおかげで碁盤の見え方が変わって、楽しさの質が変わってきます。棋力とともに、少しずつ新しい楽しみに出会えるのです。これも囲碁というゲームに飽きることのない、魅力のひとつでしょう。
初心者の今こそ、最高の新鮮さとワクワクと出会えるチャンスです。まず今をめいっぱい楽しんで、そして将来にわたりじっくり長く囲碁を楽しまれるよう願います。